今日のお題:行列の積の公式について
今回は、前回の続きの行列の積の公式についてからはじめます。
前回はAB≠BAの説明をしました。それ以外にも法則があるので説明します。
(1)(A+B)²=A²+2AB+2BA+B²≠A²+2AB+B²
(2)(A+B)(A-B)=A(A-B)+B(A-B)=A²-AB+BA-B²≠A²-B²
(1)(2)より行列では、正式のときに使った乗法公式は成り立たないことが分かります。
ただし整式のときに使った乗法公式が成り立つ場合もあります。
(ⅰ)(AB)C=A(BC)
(ⅱ)A(B+C)=AB+AC
(ⅲ)(B+C)D=BD+CD
(ⅰ)は結合法則、(ⅱ)(ⅲ)は分配法則というものです。
(ⅰ)~(ⅲ)の公式の証明
先ほどの(ⅰ)~(ⅲ)の公式の証明をしてみます。
$$A=\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}$$
$$B=\begin{pmatrix} 5 & 6 \\ 7 & 8 \end{pmatrix}$$
$$C=\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 2 & 2 \end{pmatrix}$$
$$D=\begin{pmatrix} 2 & 2 \\ 1 & 1 \end{pmatrix}とする。$$
(ⅰ)(AB)C=A(BC)
よって(左辺)=(右辺)なので成り立つ。
(ⅱ)A(B+C)=AB+AC
よって(左辺)=(右辺)なので成り立つ。
(ⅲ)(B+C)D=BD+CD
よって(左辺)=(右辺)なので成り立つ。
今回はここまでにします。
次回はExcelを使った関数を紹介します。